坂本誠のフィジカルトレーニング

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『医学的に「健康に良い食べ物」は5つしかない』について

面白い記事です。

toyokeizai.net

という記事です。内容はその5つの食材を紹介してくれるのかと思いきや、一般的に身体に良いと考えられている栄養素の問題を指摘してくれています。例えば「炭水化物は健康に悪く、食べると太る」といったものです。それから「βカロテンやリコピンは身体に良い」というものもあります。もう一つ「果汁100%のジュースは健康に良い」です。この記事の最初の3つの誤解について思ったことを書きます。

 

1)正しくない前提を用いて無理やり結論を導いている

炭水化物は身体に悪いという前提で話を進めていく傾向があります。これに限らず広告や雑誌に書いてある「これさえ摂れば」的な宣伝文句はほとんどがそうです。まずタイトルを見て「◯◯が身体に悪い」といった風に出てきたら「なぜそれが大前提なの?」と疑いを持たないといけないですね。次のことなら分かります。「人間はいつか死ぬ」という前提。そして、「安倍晋三は人間である」「ゆえに安倍晋三はいつか死ぬ」となります。これは前提が間違っていないので、安倍晋三が人間だということが分かれば結論は導けます。だけど「リコピンは体に良い」「トマトにはリコピンが含まれている」「トマトは体に良い」というのは論理的には正しいですが、前提が間違っていれば結論も正しくないです。私は「リコピンは体に良いというデータがあるのだろうか?」と最初から疑ってしまいます。

 

2)研究結果が出ていても騙されてはいけない!それと反対の研究結果を掲載していない場合もある

この記事もUCLAの助教授の先生が言われたことを記事にしたのだとおもいます。確かに、その先生の行ってきた研究結果ではそうであったかもしれません。しかし、よくあることですがその先生の結果とは反対の結果を他の研究グループが出している場合があります。そういったデータは出さずに、自分のデータや説明に都合の良いデータを並べることで論理的には正しい説明が出来上がります。研究者が論文を書く時にも、そういったことがあります。こういうのをパブリケーションバイアスと言います。私も論文を書く段階で出くわしました。しかし、私の研究結果とは違うデータも示しました。そうでないと真実がつかめないです。そんなに簡単に都合の良いデータは出ません!

 

3)統計的な有意差があっても、あくまでもデータは平均値

何かの薬を取って効果が100の人、150の人、50の人と様々です。何人もサンプルを取って、平均値が100になったとしたら、一番低い50の人もいたというケースだってあった訳です。ですのでこの薬を取れば自分も平均値の100の恩恵があるかというとそうもいきません。もしかしたら50の恩恵しかない場合だってありえます。だって平均値ですから。

 

4)見せ方がうまい!

あるサプリメントを摂って、効果が1.1倍あったという研究結果があったとします。皆さんならこのサプリメントの商品の宣伝をする場合はどうしますか?私なら1.1倍とは書かずに110%アップと書きます。本当は10%アップですが、そうするでしょう。もしくは棒グラフの縦軸の下の方は写さずに、上の方だけ見せて劇的に変化したように見せかけます。商売になると研究データもそんな陳腐なものに変化します。

 

5)タイトルの5つしかないという表現形に違和感

「5つしかない」と私なら書きません。「現在5つまで分かっている」という書き方をします。この2つは印象はずいぶん違いますね。「5つしか」と書かれると、これ以上はないよって言っているようなものです。しかし、「5つまで分かっている」と記載すれば、将来的にまだ6つ目が見つかるかもしれないという期待感があります。

 

6)でも、この記事に書いてあることが正しいわけではないよって書き方が好き

商売の宣伝は「これさえやれば救われる」的な物が多いです。しかし、そんな単純なことはありません。もし専門家が書いたのならばエキスパートオピニオンとして考える材料とするべきですね。だから読み手のリテラシーも必要になります。読解力がなければ、いつまで経ってもこの手に騙されます。