坂本誠のフィジカルトレーニング

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本を読んで、目で見て体感して、工夫が生まれる 〜みんなで筋肉体操からのヒント〜

NHKの「みんなで筋肉体操(https://youtu.be/WndOChZSjTk)」は強烈な番組でしたね。めちゃめちゃハードなエクササイズで、きっと日本中筋肉痛続出ではないかと思います。この番組の中で解説されていたのが近畿大学の谷本道哉先生です。筋生理学の権威です。私は先生の本を何冊も持っています。「使える筋肉 使えない筋肉」は先生の代表的な本です。筋肥大を引き起こす条件の解説から、それに基づいた数あるトレーニングメソッドは非常に参考になります。今回は番組のことと本の内容のことを絡めながお話しします。

 

(1)胸の筋肉をたったの2セットで追い込む 

この少ないセットで筋肉を追い込む方法は謂わばハイ・インテンシティ法です。かつてボディビルでMrオリンピアを6連覇したドリアン・イェーツはヘビーデューティ法という強度の高いやり方を採用していました。彼はたったの1セットか2セットで追い込む凄まじいトレーニングを行なっていました。それを彷彿とさせるのがこのプッシュアップです。この筋肉体操では高強度とは言っていませんが、普段運動を行なっていない人には十分高強度運動になります。

 

【弁護士、俳優、庭師と異色の並びです】

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1)1セット目 〜フルレンジ・プッシュアップ〜

さあ、やってみよう!!!

フルとは一杯にという意味で、レンジは範囲という意味です。つまり全可動範囲で動かしましょうということです。まず手幅を肩幅の1.5倍にセットします。体幹を一直線にタイトに固め、つま先支点でうつ伏せになります。胸がしっかりと床に着くまで大きく動かします。動作は2秒で降ろし、1秒で挙げるイメージです。ややゆっくりと動かして大胸筋で負荷をしっかりと感じ取りながら動かすのがポイントです。回数は通常のフォームで15回。膝をついて5回です。

 

①【手幅は肩幅の1.5倍】

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②【つま先支点で15回】
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③【膝支点で5回】
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ゆっくりと動かすことで使っている筋肉を意識しやすく、回数が多いことで乳酸などの無酸素生代謝物がたまりやすくなります。限界を迎えているのに更に膝をついてプッシュアップさせるのは、出来るだけ多くの筋線維を動員させるためです。運動中にはすべての筋線維が動員されているわけではなく、動員されていない筋線維もあります。限界まで持っていくことで、より多くの活動していなかった筋線維が動いてきます。動員された筋線維が適応を起こしますので、楽に行ったのでは使わない筋線維もあります。過酷な環境に追い込むことで筋肉の成長を促そうというものです。思ったのは膝をついてでもプッシュアップを続けて強度を上げていく工夫です。これはバーベルでトレーニングするときのマルチパウンディッジに相応するテクニックだと思います。

 

これでも結構大変だと思います。しかし、ここまではまだ良い方なんです。問題は次の2セット目です。

 

2)2セット目 〜ハイスピード・プッシュアップ〜

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スピードを速くしてプッシュアップします。ただし「やや丁寧」に行うのがミソです。特に降ろす局面で速くしすぎるとストンと落とすことになって、筋肉に効かない時間が一瞬できてしまいます。フォームは通常のプッシュアップと同じですが、ハイスピードで30秒間行います。そして10秒休んで、さらに20秒間ハイスピードで行います。ワークアウト中にきついと感じたら少し休んでも構いません。また途中で膝をついても構いません。とにかく決められた秒数をやり切ることが大事です。

 

①【速く30秒→10秒休憩→速く20秒】
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①【速く30秒】
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②【10秒休憩】
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休憩時間もかなりきつそうです。

 

③【速く20秒】
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究極にきつそうです。

 

④【終わった後の達成感】
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高速で動かすことで筋肉の中でも速筋線維というスピーディで強く収縮する筋線維が選択的に動員されます。さらに限界まで追い込むことで、乳酸などの疲労物質が蓄積します。30秒で一度10秒間休んで、さらに20秒続けるテクニックをレストポーズと言います。強度を上げる方法を上手に使い、自重のエクササイズでも筋肉が肥大するように導いています。もう出演者のみなさんクタクタです。フルレンジ・プッシュアップで1分、ハイスピード・プッシュアップで1分。この2分は正に地獄だったでしょう!

 

(3)目で見て実際に自分でやってみると本の内容がもっとよく分かる

今まで谷本先生の本は何冊か読んで来て自分のトレーニングの参考になる部分が非常に多かったです。この筋肉体操のすごいところは自重でもかなり高い負荷が掛かるように創意工夫されているところです。例えばフルレンジ・プッシュアップなんかは限界を迎えてからさらに追い込むために膝突きのプッシュアップに移行するとは思いませんでした。また高速で動かすプッシュアップも行われていました。プッシュアップのスピードをあげて切り返す場面は伸張反射が起こり、爆発的パワートレーニングのプライオ メトリックスに近いところがあります。スピードをあげても物理的に負荷が掛かるように谷本先生は工夫されていて、それを効果がでやすいように応用したのだと思います。

こういった観点から考えればいろんな種目でも発送できますね。例えば脚を鍛える時に「スプリットスクワットを行なってからシッシースクワット」をするのも創意工夫だと思います。実際に私はトライしてみましたが、半端ないきつさでした。やはり実際にテレビで見て、本に書いてあることを理解し、実践すると工夫が生まれるのだと強く感じましたね。「筋肉体操!」良いですね。

 

 

(4)筋肉は裏切らない
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まさに裏切りません!筋肉は絶対に!