(1)「30kgのバーベルでスクワットできますか?」って発想
さて、皆さんはスクワットをやったことがありますか?
これですね↓↓
筋トレではメジャーな種目です。で、このスクワットを30kgのバーベルを担いでできますか?私は「楽に」できます(自慢ではない!)。私にとって30kgは「軽い」です。ですが、「ランニングで時速10kmで走り続けてください」と言われたら、、無理です。速過ぎます、私にとっては。この「軽い」とか「速い」っていうのは自分視点でみた場合の表現です。「難しい」とか「簡単」とかもそう。その人の能力がどのくらいかによって表現は変わってきます。
こんなことがスロージョギングの「スロー」って言葉にも当てはまります。上の例の時速10kmっていうのを川内選手が走ったらどうでしょうか?多分、「スローだね」って言うでしょう。このようにスロージョギングのスローと言うのは、実は相対的なものなんです。
(2)きつさの物差しで測った時のスロージョギング
もしきつさの物差しがあるとしたら(実際にBorg Scaleってのがあるんですがね)、例えば「極度に楽、かなり楽、楽、ややきつい、きつい、かなりきつい、極度にきつい」って7段階の物差しがあるとします。スロージョギングは「かなり楽〜楽」の範囲内でできるランニングのことを言います。ってことで相当体力のある川内選手の「楽に」走れるスピードって相当なもので、多分時速20kmくらいでも楽って言うでしょう。普通は時速20kmと言うのは相当速いのですが、先程の私の例と同じ!30kgのスクワットが楽っていうのと同じく、川内選手にとっては時速20kmはスローです。だからスロージョギングのスローって言うのはどれくらいのスピードですかと言われると、「それは人それぞれで、めちゃくちゃ範囲は広いです」ということになるんです。
(3)速度という物差しで測ったスロージョギング 〜2つ目のスローの意味〜
このようにスロージョギングのスローって本当に見た目にスローって話ではなく、個人のきつさの感覚に依存します。「えっ?だけどスロージョギングの本には、スロージョギングは歩くスピードで走るだけって書いてありますよ。」と言われそうです。そうです。確かに書いてあります。普通ヒトは時速6km以上で走り出そうとするので、それ以下なら誰でもできます。そのスピードは時速2〜6kmの範囲です。これって明確な数値なんですが、これを聞いたそこのあなた!これなら走れそうだと思いませんか?そうです。スロージョギングのもう一つの意味は、本当に誰が見てもスローだという普通歩く範囲の時速6km以下のことなんです。しかも、本当に「遅い」のでスロージョギングと。素晴らしいことに、歩くスピードで走っても立派に時速6km以上で走った時と同じく、運動適応は起こるし、エネルギー消費量も同速度のウォーキングの約2倍になります。こうすることで「私にも走れる!」「やってみよう」ってことになり、「歩くスピードで走るだけ」ってキャッチフレーズが多くの人に愛されるわけです。
(4)ニコニコペースのランニングをスロージョギングとする定義も時速2〜6kmの範囲をスロージョギングとする定義もどっちも大事
ニコニコ笑顔が保てるジョギングをスロージョギングとすることで一生涯ジョギングを楽しむことができます。だって体力がついてどんなに速くなってもその人が楽だと感じればスロージョギングですから。そして時速2〜6kmの範囲でスロージョギングすることも、ジョギングをやったことがない人でもジョギングできると喜んでもらえます。スロージョギングの良さは老若男女、体力有る無しにかかわらず誰でも死ぬまでできるのが最大のメリットです。
だから、スロージョギングのスローは、相対的なスピードと絶対的なスピード両方とも重視することが30年40年50年とジョギングと付き合っていく意味では大事なんですね。
私としては、導入は「歩くスピードで走るだけ」で、体力が付いて速く走れるようになっても「ニコニコペースなので、それはスロージョギングの範囲だよ」って普通に皆さんが生理学的な意義を理解してくれるようになったら幸いです。
さて、ここに述べたのは飽くまでも私の私見です。そんなこと日々考えながら生きとります。