Dr. サカモトです。
さて、今日はウォーキングとジョギングのお話です。
高齢者に
「いつも通りの歩行をしてください」というと、4.5~5km/hほどになります。この速度で安静の3.5~4倍の運動強度です。消費カロリーが3.5~4倍に上がっているのと思ってください。(歩行の運動強度は「歩行速度−1」です)
しかし、実際には、健康を確保するには5倍以上が必要です。5倍は歩行では6km/hです。通常よりも少し過負荷をかけるレベルです。ですので、それほど大したことないはずです。
ところで、アメリカスポーツ医学会の運動処方の本を見ると、健康づくりには3倍から6倍が推奨されています。この考え方は大事です。全く運動をしていない人から見ると、3倍程度でも大事です。3倍というのは、ゆっくり歩行(4km/h)のレベルです。
ところが、3倍というのは、先ほども言ったように、健康を確保する上では、強度が足りないです。普通歩行は3〜4倍で運動効果が低いLIPA(Little Impact Physical Activity)の部類に入ります。次の表を参考にしてください。
通常の歩行を目標速度にするには、ちょっと気合いれて6km/hにすればいいです。しかし、注目すべきはジョギングです。ジョギングは同じ強度であれば4km/hにすれば、簡単に安静時の5倍の強度が達成できます。 左側のMETsがその倍率に相当します。
「時速4kmがニコニコ笑顔を保って走れるなら健康」
とタイトルに書きました。
ニコニコ笑顔を保って走れるということは、息も切れていないはずです。体内に乳酸が溜まってくると、それを除去するために息が荒れてきます。ですが、そんなこともなく、楽々走れるということは乳酸が溜まっていないはずです。この乳酸が溜まるか溜まっていないかギリギリのレベルを乳酸閾値と言い、最大運動レベルの50%に当たります。
つまり、50%のニコニコペースが安静時の5倍なら、最大レベルはその100%の10倍強度になります。日本人を対象にした研究では、心疾患に罹患する危険度は、最大運動の耐久レベルが8倍を下回ると要注意ということが示されています。逆にいうと、最大レベルが安静時の8倍以上は耐久力が欲しいところです。しかし、実際のところ8倍ではギリギリすぎます。安心できません。したがって、10倍を目指すことにし、その半分の5倍、つまり4km/hのジョギングがニコニコペースなら健康が確保されていると言えます。
10倍というのは専門的には最大酸素摂取量が35ml/kg/minです。旧来の基準とほぼ同じです。
みなさん、時速4km/hのジョギングを、ニコニコ笑顔を保って走れるように楽しんでいきましょう(^^)