WAKEフィジカルトレーニング

ミドルエイジからのワークアウト

筋肉痛について

筋肉痛になるのは嫌いな人と好きな人がいます。私は後者です。それは単に筋肉が張っているとよく寝れるってことだけです。生理学的にどうこうってわけではなく、気持ち的に寝る時の張りと痛みが気持ちが良いです(笑)。

f:id:physicalist:20190210213856j:image

 

それで、筋肉痛にまつわることでいろんなこと聞きます。

①「筋肉痛になっているから効いてるんですよね?」 

②「筋肉痛になるから私はこの運動が向いてないのよ」   

③「この前山に登ったら筋肉痛になった。」

④「筋トレやっても筋肉痛にならなくなった。だからやりようが足りないんじゃないかな??」

 

他にもいろいろ聞きますね。

まず筋肉痛というのはどういった時に起こりやすいか?

一つ目に

「最近まで体験したことのない負荷が筋肉にかかった時」

 

二つ目に

「筋肉が伸張されながら活動する動作が連続した時」→いわゆる伸張性筋活動という筋肉の活動様式

 

この2つです。

 

(1)「最近まで体験したことのない負荷」について

この体験したことのないというのは、「筋肉痛が起こった原因となる動作をそれまでに筋肉に経験させておらず馴染んでいなかった」ことです。例えば私は筋トレで満遍なく身体全体を鍛えています。腕を使うエクササイズも積極的に行なっています(バーベルカール)。だけど、テニスをしたとしましょう。テニスはここ10年やっていません。テニスでラケットを持つ手は前腕がずっと握りっぱなしです。ボールを打つ瞬間はもっと握るので負荷がかかります。1時間もやれば前腕はボロボロです。次の日はどうなるか?もちろん前腕が筋肉痛になります。私は筋トレをずっとやっていて前腕もバイセプスカール やハンマーカールなどで負荷をかけて鍛えています。しかし、そのような経験など関係なく、筋肉痛は起こります。筋トレの筋肉の使い方には慣れていますが、テニスのラケットの握り方には慣れていません。こうやって慣れない筋肉の使い方をすると筋肉痛になります。

これで①②④の答えは解決ですね。

 

①「筋肉痛になっているから効いてるんですよね?」

筋肉痛になっているから的確に負荷がかかったのでしょうね。同時に、それまでに筋肉痛になった部位に負荷を掛けていなかった証拠かもしれませんね。

 

②「筋肉痛になるから私はこの運動が向いてないのよ」   

運動が向いていないのではなく、上記の答えと同様それまでに負荷をかけていなかった証拠、つまり運動不足だったというメッセージです。

 

④「筋トレやっても筋肉痛にならなくなった。だからやりようが足りないんじゃないかな??」

すでに筋肉が同じ刺激に対して「適応している」状態が出来ているのでしょう。馴染んだ負荷になると筋肉痛が起きにくくなります。やりようが足りないわけではないと思います。

 

 

(2)「筋肉が伸張されながら収縮する動作が連続した時」について

筋肉は縮みながら動く仕組みしかありません。力こぶの筋肉(上腕二頭筋)が収縮すると拳が自分の方に向かってきます。何かを箸で摘んで口元に持ってくる作業がこれになります。この箸の例でいうと持っているものが軽すぎるので、上腕二頭筋が縮もうとすることができます。この縮みながら筋肉が活動する様式を短縮性筋活動と言います。仮に手に持っている箸が極端に重いとします。口元に箸をなんとか持ってこれましたが、戻す時にそおっとゆっくりテーブルの上に置こうとします。重さに耐えながらゆっくりと筋肉が伸張されていきます。この活動様式を伸張性筋活動と言います。縮もうとしているが外力に負けて(あるいは意図的に負けて)伸張されている筋活動です。この伸張性筋活動が筋肉に物理的に大きなストレスを与え筋肉を損傷させます。損傷を受けた結果、筋肉痛が起こります。

 

①「筋トレやったら筋肉痛になってないとダメなんですよね?」  

これについては初めて筋トレやれば、伸張性筋活動を何度も筋肉に体験させることになるので筋肉痛は起こるでしょう。ただし、繰り返し同じ負荷が加われば起きにくくなります。でも筋肉痛にならないと筋肉が発達しないかというとそんなことはありません。

 

④「この前山に登ったら筋肉痛になった。」

この山登りに関しては、実は山に登ったから筋肉痛になったのではなく、山を降ったから筋肉痛になったが正しいと思います。山から降る時は大腿四頭筋は伸張されながら筋肉が活動しています。それによって筋肉痛が起こります。自分の体重を高いところから下に降ろしていく作業が連続すると、意外にも筋肉にとってはストレスが大きいのです。

 

筋肉痛って一般的には嫌なものですが、なってしまうと様々なことを教えてくれますよ!

 

余談ですが、筋肉痛が起こった時は糖質の取り込み能が低下しています。筋肉が損傷するとGLUT4という細胞内に糖質を運ぶ輸送担体の量も減っています。筋の構造だけでなく、エネルギーを取り込む機能も害されている訳です。糖尿病の患者さんにとっては、過度な筋肉痛を起こすトレーニングには注意が必要ですね。糖質を細胞がなかなか取り込んでくれないので血糖値が上がりやすくなるかもしれません。

なんでこんな現象が起こるのか分かりませんが、人間の身体の一時的な適応としてエネルギー源すら細胞の中に入れておくのは後にして、まずは筋肉を修復することを先にやっておけってことなのでしょうかね?