WAKEフィジカルトレーニング

ミドルエイジからのワークアウト

楽々のランニングで体力を上げる!

前回のブログでも書いた通り、健康増進のためにはさまざまな体力の中でも、有酸素性能力(全身持久力)を向上させることもが最も重要です。有酸素性能力はマラソンランナーのように、長い距離を早いタイムで走れる能力を言います。次に示す心拍数の計算式は覚えていますか?

 

138 − 年齢 / 2

 

この心拍数以上に運動強度を上げると、有酸素性能力が上がることを解説しました。実はこの心拍数は乳酸との関連があります。ランニングの速度を徐々に上げていくと、ある速度から血液中の乳酸が急増してきます。その急増してくる強度を乳酸閾値(Lactate Threshold: LT)と言います。このLTの時のおおよその心拍数が上記の式になります。乳酸は疲労物質として有名ですが、実際には疲労物質ではありません。無酸素性の代謝で糖が分解されていった最終産物が乳酸です。したがって、乳酸が血液中に出てきたということは、運動の強度が上がってきたという証拠です。産生された乳酸は無害なものに処理していき、水と二酸化炭素にまで分解されます。二酸化炭素は体外に出す必要がありますので、身体の自動機能で呼吸を促進させます(換気の増加)。呼吸が荒れてきて会話が出来なくなり、少しずつ「きつい」と感じてきます。ではランニング中のLT時のきつさはどの程度でしょうか?それを調べたLTと主観的運動強度(RPE)(図1)の研究が複数あります。

 

図1 主観的運動強度(RPE)

f:id:physicalist:20190222210347p:plain

 

f:id:physicalist:20190222210113p:plain

このように、LTの時点ではまだ乳酸はほとんど溜まっていない状態で、「11=楽である」と感じるレベルです。つまりLT=「楽である」となり、一般の方に分かりやすく「ニコニコペース」という表現を使っています。

f:id:physicalist:20190222210657p:plain

つまり、こうなります。

 

LT=「138 − 年齢 / 2」の心拍数=「楽である」=「ニコニコペース」

 

です。このLT強度は有酸素性能力を向上させるための最小の運動強度と考えられています。簡単にいうと、ニコニコ笑顔が保てる程度のランニングでも十分に有酸素性能力がアップするという意味です。

 

初めて運動に挑戦する人、ハードな運動は苦手な人、体力レベルが低い人は最初はニコニコペースのランニングから始めると良いでしょう。

f:id:physicalist:20190222210959p:plain

「これならできそう!」と思えるのが良いですね。