坂本誠のフィジカルトレーニング

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「50歳を過ぎたら無理な運動をするべきではない」の本当の捉え方

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50歳を過ぎたら無理な運動をすべきではない(https://toyokeizai.net/articles/-/233421)の記事を正論だなと思い、読んでみると全然ダメダメでしたね。著者は今の世の中の同調的な圧力があり、それに従っていく必要はないという主張でした。確かにそう思います。主張は良いと思いますが、健康について専門ではない人間が1つの方向に論理展開して結論づけているのは問題あると思います。この記事の他者の投稿も批判的なものばかり。結論とはこうです。

 

運動すれば健康になるとか、スポーツをすることが長寿につながると信じ込まないほうがいい。50歳、60歳、まして70歳以上は、努力しての運動などせず、自然の求めるまま、動くときには動く、歩く必要のあるときは歩く。それでいいのではないか。

 

アンチテーゼとしては面白いです。今回はこれに反論します。

 

(1)極論すぎ!

まず

①手術後の知り合いが1日1万歩で3時間もかかり健康を害した

②雨の日も風の日もジョギングして、腰椎が摩耗した

③スポーツ選手は一般人よりも平均寿命が20歳ほど短い

って極論が気になりましたね。ただ普通は一般の人は①と②はやらないですよ。①の術後に体力がないのに無理して運動をすれば問題が起こるのは当然ですね。1万歩歩くのに3時間かかるということは、それだけ虚弱になっているということです。歩行すら大変な運動になっている状態なのに、歩くということは正気の沙汰ではないですよ(笑)。あと③のスポーツ選手は寿命が短いというのは、各スポーツ選手で本当に十分なサンプルを集めたのか疑問です。特定の偏った人たちをサンプルにして平均を出したと推測してしまいます。経験談と極論を持って話をしてはダメでしょう。

 

(2)医者や医学評論家の責任は?

責任?ないでしょ!研究は日進月歩進みます。昨日言ったことが今日覆されることがある世界です。それを責任取れって冗談みたいな話ですね。いろんなデータがあって、その程度で幻惑しないでほしい。研究データを見るとき、「なるほど!それが最新のデータか!」で納得。あとはサジ加減を効かせ、自分で調整。それでことは済みます。成果が出なければ、自分に合わないと考えるのは尚早!そうではなくやり方を再確認。また期間が足りないのか、自分の評価法が間違っていないかも確認する。何を効果の対象とするのかもしっかりと見定めて評価する!!!そこが超大事です。

 

(3)1日1万歩は神話でも何でもない

歩数を稼ぐということ自体最低限重要なことです。20年前には男性は9200歩、女性は8300歩で健康が確保されているというデータに基づいているのだと思います。最近では青柳先生という日常の活動量を研究されている先生が、中之条町の10年以上に渡る研究から8000歩以上というデータを打ち出したのだと思います。普通歩くと3メッツと言って安静時の3倍の運動強度が掛かるので、負荷としてはある程度確保されています(私は4メッツ以上は必要と考えています)。アメリカスポーツ医学会の運動処方の本では3メッツ以上の運動を推奨しているので、そこから普通の歩行でも健康効果はあるとしているのでしょう。よって歩数を稼ぐことは大事だとしているのです。みんながやりやすい運動を世に提示することは国民総健康運動として考えると重要な発想なんですね。

 

(4)「50歳を過ぎたら無理な運動をするべきではない」の捉え方

体力も運動していなければ落ちているでしょう!無理な運動とは運動中に息が切れて、とてもきつく、形相が変わるくらい行う運動のことです。それはやるべきではないです。心臓や血管系への負担は非常に大きく事故の原因にもなります。無理でない運動とは「ニコニコ笑顔が保てる」「運動中も人と会話ができる」「ほどよく汗ばむくらい」で1日20分から30分くらいできる運動のことです。そう言った運動を1週間合計140分から180分行えば心臓や血管も強くなり疲れにくくなるでしょう。「50歳を過ぎたら無理な運動するべきではない」というのはそういった捉え方をしてもらいたいものです。もちろん運動を継続して体力の高い方には、50歳以上でもこの限りではありません。

 

有名な人が(この記事は有名でもないけど)記事を書いていれば、正しいというのは間違っています。私だって間違ったことは言います。大事なのはそれを考えることです。他のデータを調べて吟味するってことですよ。