坂本誠のフィジカルトレーニング

Mako’s Physical Training. “Perfecting the basics is the fastest.” "Love Barbell-based training and Slow Jogging"

筋力トレーニングは悪者ではなく味方です。一般人にとっても競技者にとっても

「筋力トレーニングをやると競技スポーツをやるにおいてマイナスになる。」

そういったことが言われています。結論から言うと間違ってます。

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(1)筋力トレーニングの効果を引き出す

薬は用法と用量をどの程度与えるかで反応が変わります。「用法、用量をよく読んで」とCMではよく言ってます。薬は用量が少なければ効果は出にくいし、多すぎると体にとって害を与える場合があります。筋力トレーニングの場合は用法はやり方で、用量は運動量(強度×レップ数×セット数×頻度など)です。トレーニングも薬のようにいわば「dose-response(用量反応)」が当てはまります。

マラソン選手のようにエネルギー供給系(エネルギーを作り出す体内のシステム)が有酸素系に依存する競技は筋トレのような無酸素運動を多く行っても、筋の肥大を伴い体重増のために競技力が落ちることがあります。マラソンに筋トレは賛否両論ありますが、もしやるなら用量は少なくするべきです。逆にパワーを必要とする競技では筋力トレーニングはパフォーマンスの向上に役立ちます。ハンマー投げややり投げなどは筋トレが非常に重要になります。ハンマー投げで回転するときに7kgほどのハンマーが遠心力で100kg以上になります。それを支え切るだけの筋力が必要になります。そうでないと、それ以上のパフォーマンスは望めません。野球やバスケットボールのような複雑な技術が必要なスポーツでも同じです。分解して見てみるとパワーが必要な局面は多くあります。例えば、盗塁のダッシュの瞬間やバットを振る瞬間、切り返しの瞬間などは筋力が必要です。初速を得るにはスピードだけでなく、スタート時には強い力が要求されます。用法(やり方)を間違って、必要でない局面に筋力をつけたり、意味なく体幹トレーニングをしても競技の特異性を無視してトレーニングすることは完全に用法が間違っています。さらに用量を間違えて腕ばかりトレーニングして筋力アップしても、バットのスイングスピードが上がるとは限りません。前に見たことがありますが、「バッティングは腕だ!腕をしっかりと鍛えるためにダンベルだ!」とばかりに、ダンベルカールを行う人がいました。これは良くない発想です。効果を出すためには用法(やり方)、用量(運動量)を守ることです

さらに言うならば、次のような体力全般を見る必要があります。筋力、全身持久力、筋持久力、スピード、敏捷性、パワー、柔軟性、そして体格などです。これらを見て、自身のスポーツにどの体力要素が重要かを見定める必要があります。中でも筋力はほどんどのスポーツの基礎となり、偏りこそあれほとんどの体力要素が必要になります。

 

(2)身体は大きくなったけど、スポーツの動きが全くできていない

この言葉を聞くと多くのことが想像できます。「どんな風に大きくなったのか?」というのを第1に聞きたいですね。

1. 体重が増えただけなのか?(つまり太っただけなのか?)

2. 体重増加に伴い筋肉が増え、脂肪も大きく増えたのか?

3. 実質筋肉量が増えたのか?

どの結果で身体が大きくなったのでしょうか?それを知りたいです。脂肪が増えたのであれば、持久力が要求されるスポーツならパフォーマンスは落ちるでしょう。大きな質量を運ぶにはエネルギーが必要なので、心肺機能に大きな負荷をかけてしまいます。それだけ高い酸素消費能力が必要になるので、心拍数を高く上げなければならなくなり、疲労も早く訪れます。バスケの試合で最後まで持続できないこともあるでしょう。もし実質筋肉が増えた場合でも持久系のスポーツではマイナスになるケースもあります。それは前述の通りです。しかし、パワー系のスポーツでマイナスになるでしょうか?一瞬一瞬でパワーを要求する競技なら筋肉量が増えて、筋力が増し、パワーが上がります。結果、速い球が投げれたり、バットのスイングスピードが上がることがあります。動きが悪くなるのはスキルの練習そのものが不足したことも考えられます。

指導者は筋トレをして筋肉が付いたことを動きが悪くなった原因として捉える人が多いですが、非常に短絡的です。仮に腕にパワーリストや重りを巻いてバットを振る練習をしてみてください。その場合最初は違和感があり、スキルが乱れるかもしれません。しかし、その重いという違和感も加味してスキルを向上させようと、神経系で巧みにコントロールしようとするはずです。筋肉がついて、もしくは筋肉が付いた人間がスキル能力が低いと決めるのは、「筋トレをするな」とか「筋トレは悪い」と断定するようなもので、将来よりパフォーマンスを落としてしまい兼ねません。早いうちに正しい筋トレを理解し、筋トレを始めて体づくりをすることをお勧めします。それは小学校からでも中学校からでも全く大丈夫です。むしろ行うべきです。そうすれば競技に筋力が活きてくるでしょう。ただし条件があります。トレーニングを熟知した専門のNSCA認定ストレングス&コンディショニング専門職(CSCS)もしくはNSCA認定パーソナルトレーナー(CPT)が行うべきです

 

(3)トレーニング科学のリテラシーを持ち合わせているか?

私は昔学習塾で英語を教えていました。そこでの経験をお話しします。ある高校生の授業で不定詞を教えていました。to doの構文です。これには名詞的用法、形容詞的用法、副詞的用法があります。1時間30分の授業を終え、形容詞用法まで終わることができました。しかし、次の講義で私の都合で欠席しないといけないことになりました。そこで他のN先生に代理をお願いすることになりました。「N先生、今日形容詞的用法まで終わりました。今度、副詞的用法をお願いします。多分、練習問題を終えたら次は分詞の章に入ると思います。分詞構文にも繋がってきますので、よろしくお願いします。」と言ってバトンタッチをしました。このバトンタッチはお互いに英文法の共通言語を持ち合わせているので可能なんです。言葉足らずともスムーズに事が進みます。しかし、知ったかぶりをする先生が現れたらどうでしょうか?「俺は形容詞的用法はこうやって使うから俺が正しいんだ!」「俺は形容詞的用法はこういった理解をしている。だから生徒にこう伝えていく」なんて感じで我流を行うとどうでしょう。生徒の成績は上がるはずがありません。なぜなら間違っているからです。形容詞的用法は決まっているので、自分流などありません。名詞を修飾するということには変わりませんので、他の部分を修飾するような説明をするのは完全にアウトです。このようなことが起こっているのが今のスポーツの世界です。「俺のスクワットはこうだ!」「筋トレすると体が動きにくくなる」「筋トレで鍛えた体は使えない」「ショルダープレスは背中で上げるんだ」こういったコメントは私には理解不能です。こんな運動指導者がいると、塾の例ように私はこの指導者に引き継ぐことなんてとてもできません。スクワットなら小中高生ともに基本をしっかりと行えば良いです。そこに我流などありません。教科書の通りで十分だし、一流選手もそうしています。

トレーニング科学のリテラシー(識字能力)を身につけていない人は任せられません。まずトレーニングのことを云々言うならトレーニング科学という共通言語を身につけましょう。でないと会話が成り立ちません。

 

 

筋トレで作った筋肉はまるで爆発寸前の制御不能なエンジンか?そんなに筋肉つけてるとエネルギーを制御できないくらい筋肉が暴れるのか?はたまた発達した筋肉は単に付着しているだけの不動の置物か?それを制御しているのは神経系です。神経系の制御を妨害するくらい筋肉を肥大せる人が普通いるだろうか?もう少し論理的に考えた方が良い。筋トレの役割は「筋力、筋量、パワー、筋持久力の向上」です。それ以上でも以下でもないです。

 

●今日の成果

英語の勉強:英会話アプリで日常会話のリピート10分

                     今年の英語の合計勉強時間250分

歩数:9556歩(内スロージョギングは15分)

筋トレ:なし